|
1948年エントレリオス州ビジャグアイ生まれ。小さい頃から近所のピアニストに師事、合唱隊やバンドで歌も歌う。1966年からロサリオへ移り、大学で哲学を学ぶ一方、「コントラカント」「カント・リブレ」などのグループで活動。しかし軍事政権と折り合いが悪く、1970年代は教育面を中心に活動、1979年には当時16歳だったロックスター、フィト・パエスと出会い、後の音楽活動のきっかけを得る。
1980年代前半、民政化にともない大学の改革に積極的に関わり、以後現在に至るまで音楽活動のかたわらロサリオ国立大学哲学科で教鞭をとっている。
1987年、フィト・パエスのプロデュースによりデビュー・アルバムを制作。以後2〜3年に1枚のペースでアルバムを発表し、現在までに10枚のソロ・アルバムを発表した。2003年のアルバム「風の告白」はオーマガトキから日本盤としても発売され、アルゼンチンではカルロス・ガルデル賞「新形式のフォルクローレ」部門で最優秀に選ばれた。最新作「リトラル」はアルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル南部にまたがってパラナ川とウルグアイ川流域の音楽に取材した2枚組アルバムで、多くの音楽ファンの注目を集めている。
映画音楽にも多数参加しており、特にフェルナンド・ソラナス監督「ラテンアメリカ 光と影の詩」、フィト・パエス監督「ブエノスアイレスの夜」での歌唱は印象深い。他のアーティストとのライヴやレコーディングでの共演も多く、アドリアン・イアイエス(ジャズ・ピアノ)、ルベン・ラダ(ウルグアイのカンドンベの巨人)、ヘラルド・ガンディーニ(ピアソラ・グループ最後のピアニスト)、ウーゴ・ファットルーソ(ウルグアイのマルチ・キーボーディスト)、レダ・バジャダレス(アルゼンチン・フォルクローレの研究家)、リディア・ボルダ(現代を代表するタンゴ歌手)、メルセデス・ソーサ(フォルクローレの大御所歌手)、アリスマル・エスピリト・サント(ブラジルのベーシスト)など多彩な分野と世代に渡っている。
リリアナ・エレーロの音楽は、生まれ故郷のフォルクローレをベースとしながらも、そこにロックからタンゴ、ジャズに至るさまざまな要素を組み合わせたユニークなものなのである。
西村 秀人(アルゼンチン・ウルグアイ音楽研究家)
|